2++
abentis/ Dim Grow LP
abentis/ Dim Grow LP
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UKのレーベル‧Wisdom Teeth が最新コンピレーションアルバム『nagoyaka na kaze / 和やかな⾵ (quiet wind)』でスポットを当てた⽇本の街‧名古屋から、同コンピレーションをシーンの中⼼⼈物としてFacta & K-LONEとともにキュレーションしたabentisによるレーベル「2++」が始動。名古屋の地下電⼦⾳楽の⼀端をアナログレコードで世界へ紹介するシリーズの第⼀弾として、abentisによる初のアルバム作品『Dim Grow』が⽣まれた。
本作では、瑞々しく弾けるマリンバやカリンバのような響きでありながら、同時にどこか現実離れした印象を与える、Ableton Liveの物理モデリングシンセによる緻密な電⼦マレットサウンドが全編にわたりフィーチャーされている。静寂の中、ガラスと⾦属の狭間にある澄んだ響きが、微かな温度差とともに揺れ動くような、独⾃の質感が本作の核となっている。
彼と同世代でWisdom TeethファミリーでもあるK-LONE、Tristan Arp、Salamandaといった⾯々のサウンドと通じ合いながら、独⾃の奇妙さを持つこのサウンドのルーツには、彼の最も強い影響源であるYMO‧細野晴⾂が1975-1978年にリリースした「トロピカル三部作」の存在がある。1976年の横浜中華街でのライブで細野がマリンバとボーカルを担当したことに象徴されるように、ここではマリンバがサウンドの中⼼に位置し、マーティン‧デニーやハワイアン⾳楽に着想を得た想像上のエキゾチックな⾵景を構築するための主要な楽器として機能していた。
また、地元のJazzバー勤務を経てhiphopのビートメイカーとして活動してきた背景を持つabentisにとって、ジャズやR&Bの⾻格である“テンションコード”という、明るさと暗さの狭間にある曖昧な和⾳の響きは、本作全体を通して⼀貫した語法となっている。
「マレット+テンションコード」という本作のテーマの背後には、いくつもの⾳楽的系譜が横たわっている。ジャズのテンションを先取りしたドビュッシーの和声感覚、エリック‧サティのプロト‧ミニマリズム精神、スティーヴ‧ライヒのマリンバ中⼼の構造、⽇本の Mkwaju Ensemble(⾼⽥みどり、プロデュースは久⽯譲)による継承、そしてそこから派⽣したポストロック、エレクトロニカ、アンビエントの諸派である。
カウンターカルチャーとしてのパンク∕ヒップホップのシーンにルーツを持ちながら、創造的精神が重視される⼯業都市‧名古屋で育ったことは、これらの先⼈たちに対する abentis の親和性を⾃然と育んだ。異なるジャンルの狭間での活動を通して、Wisdom Teeth 周辺で育まれてきた⾼度にクロスポリネイトされた⾳楽観との出会いは、彼⾃⾝の⾳楽⾔語が結晶化する枠組みを与えた。
『Dim Grow』は、その旅路の⾃然な帰結として⽣まれた作品だと⾔える。
Mastered & Lacquer Cut by Beau Thomas (TEN EIGHT SEVEN)
Artwork by Yuta Eguchi
Graffiti Tag by EARP
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